結果よりプロセス

家庭学習では陥って欲しくない状態の一つに「結果至上主義」があります。
もちろん勉強に貴重な時間を割く以上、成績が上がって欲しいのはやまやまなのですが、家で問題を解くときに「正解できたか」だけにこだわっていると普段の学習が間違った方向に進みがちです。
成績の伸び悩んでいるお子さんほど「自分の答えが合っていた」ことにこだわる傾向があります。しかし家庭教師としてはむしろ「目の前のこの問題が合っていた」ことよりも「数字や問題文が変わっても同じように解けるのか」「適切な方法で解けているか」を気にするべきです。なぜなら、問題は「たまたま合っている」こともあり、成績が伸び悩んでいる子ほどその状態にある可能性が高いからです。正しいプロセスなしに正しい結果を導くことはできません。
しかしこういったお子さんほど、間違えた問題にチェックをつけることを嫌がりますし、「どうやって解いたの?回答見せて」と言っても「合ってたんだからいいじゃん!次行こ!」と言って抵抗するようになります。「正解/不正解」だけを気にする学習の弊害です。こうならないように気をつけなくてはいけません。
どうすればこのような状態から脱却できるのでしょうか?
時間をかけた作業を「ダメ」の一言で評価されるのは大人でもつらいものです。子どもならなおさらでしょう。ですから、マルバツはつけなければいけないにしても、「どこまでできていたのか」を話してもらい、できていたことを評価する作業が大切です。それがあって初めて、子どもは「どこができていなかったのか」を自分で確認し、次につなげることができます。
心理学の動機づけ研究においても、素質や結果を評価するアプローチは学習者のモチベーションを下げ、逆に努力・進歩を評価するアプローチは学習者のモチベーションを高めることがわかっています。「60点だからもっと頑張ろうね」よりも「前回より5点上がったね」という評価のほうが、子どものやる気を高めるということです。
マル・バツだけでは今の実力しか評価できません。しかし一番大切なことは、子どもがバツだった問題を「できるようになる」ことです。急にできるようにはならない以上、われわれは子どもの努力を評価しなければなりません。
 
 
  • 長い時間をかけた問題ほど解答・解説と子どもの回答をよく比べて、どこまでできていたのかをきちんと評価してあげましょう。
  • 成績が伸び悩んでいる子ほど、この時間を多く必要としていることを理解しましょう。
    • 解答を読む時間をとるために、問題を解く時間を見直しましょう。3分考えて手詰まりになるようなら、チェックをつけて解答を見た方がよいです。
  • 機械的に答え合わせをするのは、計算問題のような短い時間で済んだものだけにするとよいでしょう。